積立方式から賦課方式へ
賦課(ふか)方式の財源

積立制度と賦課制度の2種類ある年金財政のうち、現在の年金方式は、賦課方式になっています。賦課方式とは、そのときに必要な年金原資を、そのときの現役世代の保険料でまかなう方式です。
高齢前で、現在働いている現役世代の人から保険料として徴収したお金は、現在の高齢者に年金として給付される仕組みになっています。この方式のメリットは、インフレによる悪影響がないことですが、少子高齢化現象によって現役世代の人達の負担が大きくなるということが最大のデメリットと言えます。
高齢化が進むことで、納付者と受給者の比率が合わなくなることから、給付額を減少させるか、保険料を値上げするかのどちらかが必要になってきます。こうして、常に修正案を出し続けて財源を確保していくしかないのです。
積立方式の財源
もう一つの年金財政に、積立方式という財源の集め方があります。高齢前の現役世代の時に積立をし、そのお金を高齢になった時に受け取るという仕組みです。年金制度開始時点では、この方式で財源を確保していました。
賦課方式とは違い、少子高齢化が進んだとしても、影響を受けにくいというのがメリットなのですが、デメリットはインフレが起きてしまうことです。先々、高齢化が進むことによって年金受給者が増えるので、積み立てた額だけでは給付に間に合わず、やはり、給付水準の引き下げや支給開始年齢の引き上げが必要になってきます。
高度経済成長期の真っ只中

1960年は日本の高度成長期の真っ只中でした。経済成長率は、12.0%を記録した年で、この年は、15歳~64歳の生産年齢人口11人で高齢者1人を支えていた時代でした。
この時代であれば、賦課(ふか)方式の財源は納得がいきますが、現在2.7人という少ない現役世代の人口で高齢者1人を支えています(2013年現在)。
例えば、年金受給者が毎月6万6000円を受給するとすれば、現役世代は2.7人が支えることになり、それぞれの負担額は2万4000円となってしまいます。
高齢者1人の金額が10万を超えると、もうお分かりだと思いますが支える世代の負担も大きくなってしまうのです。今後も積立方式の財源が持続すると、高齢化が進むにつれその額は増えていきます。