個人年金保険とは
生命保険と聞くと死亡したら保険金がおりるというイメージがありますが、ここでは、生きている間に年金が受け取れる生命保険である個人年金保険について見ていきましょう。
生きている間に補償がある個人年金保険

個人年金保険は生命保険のひとつであり、保険会社で契約することができますが、通常の生命保険とは大きな違いがあります。
通常の生命保険を契約して死亡すると、支払った保険料よりも多額の保険金を受け取れることが一般的ですが、個人年金保険は「生存保険」という別名もあるように、生きている間に年金を受け取ることができるという仕組みです。
そのため、たとえ死亡しても、遺族が受け取れるのは払い込んだ保険料と同額程度であるようです。通常の生命保険と同じように、入院した場合の給付金等を受け取る特約はセットすることができるとのことです。
個人年金保険の種類
個人年金保険の種類は多くあり、仕組みもそれぞれ異なるようですから、自分に合うものをよく見極める必要があります。代表的な種類をいくつか挙げておきましょう。
終身年金

名称の通り、生きている間はずっと年金を受け取れるものですが、それだけに受取期間が決まっている個人年金保険より保険料が高いことが多いようです。
しかも、早く死亡すると年金を受け取れなくなりますから、「保証期間」を設定する場合もあるそうです。
保証期間は一般的に10年とされていることが多いようで、たとえ保証期間内に死亡しても、残りの保証期間に受け取れるはずであった年金相当額を遺族が受け取れる仕組みになっています。
確定年金
契約時に定めた受取期間内であれば、ずっと年金が受け取れるものです。本人が受取期間内に死亡した場合は、受取額の残金を遺族が代わって受け取れます。
有期年金
予め年金の受け取り期間を決めて契約しますが、保証期間を設定するものもあります。保証期間内に本人が死亡すると遺族が代わりに受け取れますが、保証期間内の受取額の残金に限られます。
夫婦年金
夫婦のうちどちらかが生きている限り、ずっと年金を受け取ることができるものです。
変額年金

名称の通り、将来受け取る年金の額が変化するものです。変化する理由は、払い込んだ保険料を運用する金融商品を契約者自身が選び、利益が出たら年金が増加、損失が出たら年金が減少するからです。
金融商品として投資信託等のリスクがあるものを選ぶことになるようですから、自分自身でリスクを負うことになります。
メリットとして、インフレになった場合に対応できる可能性があることが考えられます。
インフレになると、投資信託等では利益が出る可能性が高いからであるそうです。(変額年金以外のものは「定額年金」に分類され、保険会社が運用し、運用結果に関係なく定額の年金が受け取れるとのことです)
外貨建て年金
払い込む保険料を外貨(米ドルや豪ドル等、外国の通貨)で運用するものです。日本円の金利は現在は非常に低いのですが、外貨で運用すれば金利は高くなります。
しかし、払込みが完了して年金として受け取る時に、為替レートがどのように変化しているかにより、払い込んだ金額よりも少ない金額の年金しか受け取れないリスクがあります。もちろん、その反対に多く受け取れる可能性もあります。変額年金よりもさらにリスクは高いと言えるようです。
しかし、外貨のまま受け取れば外貨ベースでの元本は保証されますから、老後を海外で過ごす予定があるような方にはおすすめかもしれません。
支払方法は選択できる

保険料の払込み方法には、月々の払込みだけでなく、一年ごとや半年ごと、さらに全額を一度に払う一時払いがあります。通常、ある程度まとまった金額を払い込む方が、保険料の総額は安くなるようです。
ただ、一時払いともなるとかなり大きな金額になりますから、退職金が支給された等の特別な場合のみに選べる方法でしょう。特に個人年金保険は貯蓄性が高い商品ですから、一時払いはお勧めであるようです。
返戻率(へんれいりつ)がポイント
返戻率とは、払い込んだお金に対して将来いくらお金が戻ってくるかということで、年金がいくら受け取れるかという意味です。
例えば、総額で100万円を払い込んで合計105万円の年金を受け取れば、「105万÷100万×100=105%」ということになります。
返戻率は、個人年金保険の商品ごとに異なることに加え、契約内容(保険料の払込み期間や受け取り方法等)による違いもあるそうですから、契約前に確認しておくことが大切です。
個人年金保険のメリット

- 通常の保険料控除と同様、払い込んだ保険料は所得控除が受けられるので節税できます。
- 途中で解約すると、払い込んだ保険料よりも少ない金額しか戻ってこないことが多く、解約することに抵抗があるだけに確実に貯めることができます。
- 20歳以上60歳未満の人なら医師の診断や健康に関する告知が不要で誰でも契約できるようです。
- 変額年金以外の商品では将来受け取れる年金額が決まっているため、老後の生活設計が立てやすくなります。
個人年金保険のデメリット
- 公的年金と異なり民間の保険会社の商品であるため、保険会社の破綻リスクがあります。
保険会社が破綻すると、払い込んだ保険料の全額の返還は困難となる可能性が高いため、常に保険会社の経営状況をチェックしておく必要があります。 - 途中で解約すると不利なので、人生設計が決まっていない若い世代には不向きであるとも言われています。
- 保険料という大きな固定支出を作ることになるので、生活に負担がないかの見極めが必要となります。
- インフレに弱いと言えます。
契約時に受取額を決める商品がほとんどですから、年金を受け取るまでに急激なインフレがあると円の価値が下落してしまい、例えば1万円で購入できたものが2万円になっているような状況でも、年金の額は変わらないままです。
公的年金に加えて個人年金保険で老後に備える

公的年金は一生涯もらえるもので、終身年金です。受け取れる年金額は少なくなると懸念されている一方、運営は国が行うため、民間の保険会社よりも破綻のリスクはかなり小さいと言えるでしょうか。
もしも老後を迎えるまでに障害を負うことになったら障害年金が受給できますし、自分自身が死亡したら、扶養に入れていた家族には遺族年金が支給されるというメリットもあります(参考:年金が出るのは老後だけではない)。
年金財政の悪化やこれまでの不祥事が問題視されていることは事実ですが、やはり公的年金は年金制度のベースになるものと考えられているようです。
公的年金では不足する部分を個人年金保険も活用して準備しておけば、より安心な老後を迎えることができるのかもれません。