年金の不祥事(着服、消えた年金記録、グリーンピア)
これまでの相次ぐ年金不祥事

私達が、将来受け取れると信用して預けている年金の積立金が、その場に勤める職員などによって、着服されていたというニュースを最近よく耳にします。そして、相次ぐ年金制度の不祥事で国民の信用をなくし、「保険料は払うだけ損」などと、言われ続けています。
しかし、それでも数多くの人達は、老後や家族の為に将来の生計をたてながら、日々頑張っているのです。ここで、これまでに起きた不祥事を取り上げてみます。
積立金の膨大な使い込み
1962年に99件、判明したという年金保険料や給付金の着服事件。これは被害総額が約3億4300万円にもなり、信用していたはずの社会保険庁と自治体の職員によるものでした。
この事件は、年金給付額に影響はないと言われましたが、これを聞いて、国民が寄付しているかのように思ってしまう事件です。この事件では、99件中、35件が公表されていないらしく、年金記録問題検証委員会に提出した資料によって判明したものです。
その後も次々と着服事件は起きており、死亡や行方不明、退職によって着服した後の処分が出来ないままでいるという杜撰な内容です。
2013年11月もまた約23億円の着服事件。
過去を探れば、山のように出てくる着服事件ですが、2013年にもありました。長野県建設業厚生年金基金の同基金元事務長による着服です。
その金額は以前不明なのですが、建設業厚生年金基金の約23億8700万円という大金が使途不明金となっており、その内の一部を元事務長が着服したという疑いが持たれている事件です。
詳しくは分かっていない事件ですが、ニュースでは投資や女性に大金を使ったというのですから驚きです。2005~2010年に23億円超という大金で、5年間という期間を考えると、年金を受給する空白期間に、どれだけの生活が出来るのだろうかと、つい考えてしまいます。経理による着服事件が多い中、今後も納付を続けていく不安が立ち込めるばかりです。
消えた年金記録

AIJ年金投資顧問の年金消失問題は、わたしたち国民の年金をカットするほどの大きな問題となりました。
これは、運用の失敗で1092億円の消失が出たというもので、その消失の穴埋めが、国による厚生年金基金制度の見直しのきっかけとなってしまいました。同社元社長が、248億円をだまし取ったとされていますが、明らかにされていない事件です。
2006年の時に、約5000万件もの記録が無くなり、現在でも約2000万件以上もの年金記録が解明されていません。いつの頃か、“年金のチェックを最後の1人まで行う“と言う約束はいったいどこにいったのでしょうか。
数年前に、「ねんきん特別便」という封書が1人1人に配送されています。これは、平成19年12月から平成20年10月の間に、その時に加入しているすべての年金受給者や加入者の方に送られているものです。
この封書は確認の為のものであるにも関わらず、結果、回答がなかった記録は874万件だといいます。最初から分かりきっていることですが、それでも1度口にしたことを訂正するかのような「いつまでに何人、いくらになるか想定するのは困難」という言葉を聞いて、年金加入者として容認する事は出来ません。
グリーンピア問題

グリーンピアとは、1970年代前半に厚生省が立てた計画です。
この問題は、全国13ヶ所にリゾート施設のような大規模保養施設を建設して、後に大赤字になってしまったというものです。この施設は、年金財源を1953億円も投じており、最終的には民間の企業に48億円(全施設)で売却されました。
つまり、この差額である1900億円以上もの金額は、何も知らずにいる私達の年金保険料であり、意味のない衝動買いをしてしまったようなものなのです、しかも高額の。
更にこの問題だけではなく、官舎や職員専用のゴルフ練習場など建設費までもが年金給付金から使われているのです。その金額6兆8000億円で、56年間という長い年月を掛けてわたしたち国民は騙されてきたのです。この赤字から、最終的には国民にしわ寄せするという形になってしまいました。