年金の財政悪化(企業年金カット、生保破綻)
厚生年金基金の廃止案

現役世代から老後の為にと準備を行ってきたものの、100%老後がうまくいくという保障はありません。
実際に、AIJ年金投資顧問の年金消失問題が起きてから、財政悪化の問題が原因で厚生年金基金の多くを廃止する法案が出ていました。が、存続厚生年金基金は、改正前の厚生年金保険法の規定が引き続き適用されることになりました。存続か廃止かと言われ続けてきた結果、存続という方向になったものの、年金制度は現状維持となり、医療介護分野の自己負担率の増加、高額所得者の負担の増加となってしまいました。
現在1割負担である70歳~74歳の医療や介護料金は2割負担となり、2017年には高額所得者の負担増が実施されます。少子化が進むにつれ、現役世代が高齢者を支える時代になっていく中、高齢者がますます増える将来に、今後の現役世代の負担は大きくなるばかりです。しかしこれは、日本の家族制度という設計であるがためにそれを見守るしかないのです。
日本航空の企業年金カット

日本最大の航空会社であるJALの経営状況により、企業年金のカットや大幅な人員削減が2010年に話題になりました。
OBは3割減になり、現役は5割減になるというこの問題、高額な企業年金の支払いに関して約3300億円の積立が不足していることから、企業買収や追加融資による再建が難しいと言う問題でした。
これによって企業年金のカットが行われると言う話の中、OBによる減額に反対する署名活動が行われ、2/3以上の賛成が必要なうちの1/3を超える3580人の署名が集まったものの、減額は認められませんでした。これに対して、OBの怒りは治まらないというものでしたが、減額されるのはこの企業年金の部分だけなので致し方ないという結果に終わりました。
破綻していく生命保険会社
国民に大きな影響を与えた「日産生命の破綻」は、1997年4月のことでした。破綻の原因は超低金利で、その当時は「日産生命以外の生命保険会社は安全なのか?」と、とても話題になったものです。
過剰投資と緩慢な経営で会社が傾き、債務超過は3029億円となりました。当時の保険契約は、1997年10月1日に、「あおば生命」に移転されています。また、「東邦生命」も、1999年6月4日破綻しており、当時の契約は、2000年3月1日に「AIGエジソン生命」に移転されました。
1997年の日産生命以降の5年以内に合計7社が経営破綻しており、経営が悪化した保険会社が増え続けることで、保険契約者を驚かせましたが、生命保険会社が倒産しても、契約は他の保険会社が引き受けることになり契約は維持されています。
年金情勢の厳しさ

数々の年金疑惑や年金制度に関しての不安から、保険料を納付しない人も少なくありません。
老後の年金生活が不安だからこそ仕事を真面目に頑張り、将来安定出来るように私達は日々頑張っています。しかし、団塊の世代から思えば年々厳しくなっていく年金情勢だと思います。そんな中、経済新聞では、全体の2割に当たる95の厚年基金が解散議決するというニュース。そして、厚年基金の4割もが解散を検討しているという話。
基金が解散してしまうと、年金受給者への企業年金部分の支給は停止し、将来受け取れるはずの加入者は年金をもらえなくなってしまいます。それに付け加え、消費税は上がる一方、企業を巡る環境は厳しさを増していき、解雇等雇用調整、採用内定取消などが増えています。これらから、今後の年金生活者にとって、さらに厳しい生活となることが考えられます。