自分年金を作る

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自分年金とは

老後の生活費の備えとして、公的年金や企業年金でなく自分自身で作っておく年金が、自分年金です。

自分年金は、預貯金だけでなく投資を行うもの(株式・債券・投資信託等)も活用して作ることになるようです。

個人型確定拠出年金(愛称:iDeCo イデコ)とは

2017年より、60歳未満の現役世代であれば誰もが個人型確定拠出年金(愛称:iDeCo イデコ)に加入できるようになりました。確定拠出年金は、もともとアメリカで制度化されていたもの(401K)です。

月々、一定の金額を積立てて年金を作る方法で、iDeCoを取り扱っている金融機関(銀行や証券会社)で口座を開設すれば利用できます。積立を行う金融商品として定期預金のように元本が保証されているものもありますが、おもに投資信託が中心になるようです。

投資信託には元本の保証はなく、ファンドマネージャーという資金運用の専門家が投資や運用を行っています。わかりやすく言えば、ファンドマネージャーに多くの人がお金を託して、複数の株式や債券等に投資してもらい、利益が出たらお金を託した人達で分けるというしくみです。

投資信託の商品はいくつもあり、それぞれ投資の対象やリスクの程度が異なりますから、確認してから積立をする必要があります。

60歳になったら、積立てたお金と運用した利益を引き出すことができますが、一時金で全て受け取るか、年金として年単位で受け取るかを選択することになります。

 

 

iDeCoのメリット、デメリット

iDeCoは老後の資産形成を目的として国が特別に制度化したものですから、税制面で優遇されています。

iDeCoの掛金は所得税から控除され(所得税が掛からない)、住民税も安くなります。お金を積立てて運用した利益が出ても、利益は非課税です。受け取る時も税制優遇制度があり、税金の負担は軽減されます。

iDeCoのデメリットとしては、60歳まで引き出せないことや商品の入れ替えがしにくいこと、手数料がかかること(金融機関の口座管理料、運用手数料等)があります。

所得が少ない人は所得税額も小さいのでメリットが少なく、60歳までに子供の結婚や進学・住宅取得費用等が必要になる場合は、別途金利を払ってローンを組むことになったりもするようです。

また、元本保証がない商品を選ぶと、元本より少ない金額しかかえってこない(元本割れ)こともあるとのことです。住宅ローン控除での減税が減ることもあるそうで、iDeCoにお金を積み立てるよりもローンの繰り上げ返済をする方がお得な場合もあるそうです。

 

自分で資産運用を行う企業型DC(企業型確定拠出年金)では、退職金のために

もともと、企業を退職する時に受け取る退職金といえば、ある程度まとまった金額の一時金でしたが、最近になって企業型DCに切替える企業が増えつつあるようです。

社員を雇っている企業では、退職金の支給に備えて資産運用を行う等の方法で準備をしていることが多いようですが、資産運用に失敗して退職金が不足する場合は、企業が不足分を補うことになるそうです。

極端な場合は、企業の経営破綻等により退職金が支給できないリスクも出てくると考えられます。

企業ではなく社員自身が自分の退職金のために資産運用を行うのが企業型確定拠出年金(企業型DC)であり、運用を行う掛金は企業が毎月出してくれる(拠出)ことになります。

社員が自分自身で資産運用を行った結果、拠出された合計額よりも最終的に多く受け取れる場合もありますし、逆に少なくなってしまう可能性もあると言えます。

60歳より早く退職しても積立てたお金を引き出せないことは、注意しておく必要がありそうですが、60歳まで働けば、65歳で公的年金が受給できるまでの生活費を補うことができるわけです。

 

企業型DCは社会保険料でもメリットがあり、企業にもメリットが

ここまでの話では、企業がリスクを社員に負わせるだけのように見えてしまいますが、実は企業型DCには大きなメリットがあるのです。iDeCoと共通した点もありますが、企業型DCでは社会保険料についてもメリットがあるのです。

企業型DCの掛金として企業から拠出されるお金は所得控除され、運用で利益が出ても税金は非課税ですし、社会保険料(年金や健康保険、介護保険、雇用保険の各保険料)も一切かかりません

60歳になって積立てたお金と利益を受け取るときは、iDeCoと同様に一時金または年金を選択しますが、税制優遇により税金は軽減されるそうです。

また、企業側にもメリットがあり、社員に拠出した掛金を経理上は損金として処理することができるため節税が可能となることに加え、運用のリスクを負わなくてもいいということも挙げられるようです。

 

投資への関心・情報収集で、有利な運用へ

企業型DCは、勤務先の企業が決めた金融機関(企業型DC運営機関)を通じて利用することになりますが、iDeCoは自分で金融機関が選択できます。

金融機関ごとに資産運用を行う商品がいくつか用意されていますが、通常は、元本が保証される商品(定期預金等、預けたお金は必ず戻ってくる商品)と、元本の保証がない商品(投資信託等)の両方が複数用意されていて、両者を組み合わせて選ぶこともできるようです。

現在のような超低金利の状況では、元本が保証される定期預金等ではほとんど利益が出せないことは確かでしょう。

だからと言って、値動きの激しい株式を多く組み入れた投資信託等では、利益が多く出せる可能性もある反面、損失を受ける可能性もまた大きいということになるようです。

長期の投資を念頭に置いて、若いうちはリスクのある商品もある程度組み入れて、60歳に近づくほどリスクの小さい商品に組み替えていくという考え方もあるようですから、自分なりに情報収集を行って投資に関する知識を増やし、専門家や金融機関にも相談してみるといいのではないでしょうか。

 

財形年金貯蓄でリスクのバランスを取る方法も

確定拠出年金と内容は異なりますが、1982年に創設された財形年金貯蓄について、少しだけ触れておきます。

財形年金は、1972年に始まった勤労者財産形成貯蓄制度のひとつの商品であり、勤労者が対象とされています。勤務先を通じて、給料天引きで預貯金や保険等で積み立てを行うものですが、元本550万円までは利子は非課税です。

老後の資金を形成することが目的であり、60歳以降、5年以上の期間にわたって定期的に年金が受け取れることになっています。投資信託での積み立てができる金融機関がごく限られているため、超低金利の現在では利用する人が減少しているようです。

財形と確定拠出年金のどちらを選ぶか迷う人もあるようですが、超低金利が続いている現在は確定拠出年金の方がおすすめであると言えるようです。

しかし、財形年金では元本保証の商品、確定拠出年金ではリスクもある投資信託等の商品を選ぶことで自分年金全体のリスクバランスが取れるというメリットもあるとされています。

いずれにしても、自分年金を作るための運用は自己責任であることに変わりないようです。 個人の考え方によって、自分年金の作り方は異なるはずです。 特に初めて投資をする場合は専門家や金融機関の意見も聞いて、より多くの自分年金をより安全に作れるように取り組んでいきたいものです。

 

 
 

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